介護のすすぬ

義親と実親の介護を通して学んだこと

わからんちん

わからんちん

 

父と同居し始めて一月くらいたったときでしょうか。

 

環境の変化に慣れずに

精神的に不安定に陥った父は

自分の身の置き場を探したことがあります。

 

「自分の兄弟の世話になろうと思う」

 

そういうことを何度も口にするようになりました。

どこにも行くところがないのに

「お前の世話になるわけにはいかん」

そういって私を困らせました。

 

時には

「田舎に帰ってひとりで暮らそうと思う」

「兄弟がなんとかしてくれるやろ」

そんなことを言うようになりました。

 

それは自分だけが年を取っていて

他の兄弟はみんな若いと思っているような

そういう口ぶりでした。

 

わからんちんを言う

そういう父の姿が情けなくて泣きました。

 

何度も

「ここ以外に行くところはないの」

認知症の人は一人では暮らせないの」

真剣になって訴えたこともありました。

 

そんな父に対し、何か言ってもらいたくて

兄にも電話をかけて助けを求めたりもしました。

今から思うと愚かでした。

 

父がなぜそんな気持ちになったのか

その根本的な解決を図らなければ

解消されないことくらいわかりそうなものです。

 

私は義母と父という二人のお世話で

精神的な余裕が全くなかった時でした。

 

その上

夫が父が来たことへのストレスのせいなのか

父ではなく私を怒鳴ることが多々あり

私と父の二人に追い打ちをかけました。

 

介護は子育てと似ているとエピローグでも述べました。

半分パニくっている子供に対しては

こちらが冷静に対応しないと

子供からの反応は2倍になって返ってきます。

下手をすると2倍どころか2乗になって返ってきたりします。

こちらが精神的に不安定だとそれを敏感に読み取り

子供も精神的不安定に陥ります。

 

それと同じ状態が、認知症の親の介護にもあてはまりました。

 

わからんちんを言っている時こそ、

こちらが感情的になってしまってはいけないのだと感じました。

 

介護は精神的な余裕がないとできない

そう思います。 

 

それと

もっと大切なのは同居する家族の協力でしょうか。

しかし、残念ながら

これだけは私にはどうしようもできないことでした。