介護のすすぬ

義親と実親の介護を通して学んだこと

白内障 vol.5

白内障 vol.5

 

手術で一番不安なのは父本人でした。

 

前日まで

「目は大丈夫だから、手術する必要がないと思う」

何度もそう私に言いに来ました。

 

「今は大丈夫でも2年後には見えなくなるの。

2年先のことを見越して今手術するんでしょうが。

それとも2年以内に死ぬとでも言うの?」

 

娘ですから、きついことも言います。

 

そんな思いで手術していますから

手術後に看護婦さんから

「よく見えるようになったでしょう?」

と声をかけられても

「大して変わらん」

というのが父の答えでした。

 

実際、大して変わってなかったのだと思います。

 

というのも、見える見えないは脳が判断すること。

見えない生活を長く続けてきていましたから

脳が錆びついてしまっていたようです。

 

物理的に見えていても脳がそう判断しなければ

「みえない」「大して変わらない」

になるようです。

 

なので、Dr.からは

「たくさん物を見て

半分眠っている脳を起こしてあげてください」

と言われたのでした。

 

高齢者に多焦点レンズを入れても

それほど効果が上がらないと言われているのは

そのせいだそうです。

 

その後ずっと父は私に言い続けました。

「手術はしなくてもよかったと思う」

 

それでも、半年ほどたった頃には

出かけた先で随分と遠くのものを識別し

近くもよく見えるようで、薬も取り出せていました。

 

すぐに効果は出なくても

ちゃんと眼鏡なしで生活できるようになっています。

 

認知症があるでの

正確な視力検査ができないのが残念です。

 

1年半経った今では

白内障の手術をしたこともすっかり忘れて

目が見えなかったこともすっかり忘れて

良く見えている事実は認識しているのかどうか不明ですが

ごく普通に何の支障もなく生活しています。

 

ある程度の年齢になったら

見える見えないに関わらず眼科を受診した方がいいと強く思います。

 

小学校の時に歯科検診・耳鼻科検診・眼科検診と一通りやったように

後期高齢者になっても同じような検診はやっておいた方がいい。

 

目と歯と耳は、認知症を進ませるキーポイントだと感じています。

 

そんなことに気付くのも介護をしているからです。

介護はたいへんですが、ある意味で自分のためになっています。