介護のすすぬ

義親と実親の介護を通して学んだこと

備忘録 vol.56

備忘録 vol.56

 

それなりにお金のある家に生まれ、

医者の妻になった義母。

 

お金には困っていなかったので、

洋服も帽子もバッグもかなりの数がある。

 

が、着替えができないのか、面倒だからしないのか

着替えをしないようになってからというもの

毎日同じ洋服を着るようになった。

 

嫁としてそれが気になって

あれこれとタンスの肥やしになっていた洋服を引っ張り出してみる。

 

着替えるだけでも面倒になる認知症

寒いときは着替えが嫌。

仕方がないので、嫁はストーブで洋服を温めてあげる。

 

週末から同じ洋服で通そうとするので

「沢山洋服があるんだから、せっかくだから着替えましょうよ」

そんな風に声をかけたり、

「素敵な洋服が沢山ですね」

と持ち上げたりしながら、

なんとかその気にさせて着替えてもらう日々。

 

正直、しんどいこともあります。

 

義母のお世話をしながら、

実父に介護されていた実母が

一年中同じ洋服しか着てなかったことや

母が着ようと買っておいた洋服が、

タグが付いたまま経年放置によりシミだらけになってしまっていたこと、

そんなことがいまさらのように思い出される。

思い返せば返すほど、母が惨めに思えて胸が苦しい。

 

母に介護が必要になった時に、呼んであげられればよかった。

無理にでもこの家に連れてくればよかった。

 

でも、長男の嫁としてそれは出来なかった。

 

長男に嫁ぐって、こんなに不自由なことなんだろうか?

 

義母のお世話をしながら、なんとなくストレスが溜まる気がするのは

そういうところが一番大きいのかもしれない。

 

自分の親には何もしてあげられなかったのに…

何もしてもらわなかった義理の母にはここまでするのか…と。

 

そんな風に思うのはエゴ?

 

2016.6