介護のすすぬ

義親と実親の介護を通して学んだこと

備忘録 義父との思い出

備忘録 義父との思い出

 

『なんだ!おばさんばっかりだな!

亭主を働かせて、こんな所で美味しいもん食ってくっちゃべって、

まったくいい気なもんだな!』

 

必ず、大きな声でみんなに聞こえるように言う義父。

オフィス街ではないところの昼間のレストランは、

おばさんしかいないに決まってる。

 

とかく外食したがった義父。

それは、病院の帰りだったりすることもあるけれど、

義父との外食は私にとってこの上なく憂鬱な時間だった。

 

足の悪い義父のため、よく車を出していたのだけれど、

送り迎えはしてあげるから、

この居場所の悪さから解放して欲しいといつも思っていた。

 

大声で文句をいった挙句はアルコールの注文。

和食屋なら熱燗、洋食屋ならビール。

昼間から際限なく頼もうとするから、たちが悪い。

 

そんな状態だから、

義母も自分1人で義父を連れ出すことなどできない。

 

「もう、これでやめましょうか」

そんなことを言ったら、

「ケチ〜!!」と大きな声を出す。 

 

この人、糖尿病で糖尿性腎不全。そして、認知症

 

「何か美味しいもの食べに行こうよ、最近、美味しいもの食べてない。」

それが義父の口癖だったけど、

しっかり稼いでいた義父は

美味しいものは今まで沢山食べてきたはず。

 

そんな義父との思い出。

過ぎてしまえば、そんな事もあったっけで終わってしまう。

介護って所詮そんなもん。

 

そんなことは、夫の兄弟は知る由もない。

 

 2016.5